暗号通貨における「L2」または「レイヤー2」ソリューションは、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題を解決するために開発された技術です。
具体的には、メインチェーン（レイヤー1）上のトランザクションを補助することで、ネットワークの処理速度を向上させたり、手数料を減少させたりすることを目的としています。
レイヤー2ソリューションは、ブロックチェーンの基本的なセキュリティ特性を維持しつつ、その上に追加的なプロトコル層を構築することでこれを実現します。
レイヤー0・1・2の違いを解説
暗号通貨とブロックチェーン技術における「レイヤー0」、「レイヤー1」、「レイヤー2」という用語は、異なるレベルのネットワーク構造と機能を指します。
それぞれのレイヤーは、ブロックチェーンの性能とスケーラビリティを向上させるために重要な役割を果たしています。
レイヤー0 (Layer 0)
レイヤー0は、しばしば「ネットワーク層」と呼ばれ、ブロックチェーンの基盤となるプロトコルとインフラストラクチャを指します。
これはブロックチェーン間の互換性や相互運用性を提供するプロトコルであり、異なるブロックチェーンが効率的に通信し、データを交換できるようにするためのものです。
例えば、PolkadotやCosmosがレイヤー0プロトコルの一例です。これらのプラットフォームは、異なるブロックチェーンが一緒に動作できるようにする「ブロックチェーンのインターネット」を目指しています。
レイヤー1 (Layer 1)
レイヤー1は、ブロックチェーンそのものです。
これにはビットコイン、イーサリアム、リップルなどの基本的なブロックチェーンネットワークが含まれます。
レイヤー1ソリューションは、通常、コンセンサスアルゴリズム（プルーフ・オブ・ワークやプルーフ・オブ・ステークなど）を改善することによって、トランザクションのスループットを向上させる方法を探求します。
シャーディングやネットワークのアップグレード（例えば、イーサリアムのETH 2.0）もレイヤー1の拡張策です。
レイヤー2 (Layer 2)
レイヤー2は、基本となるレイヤー1ブロックチェーン上に構築されたスケーリングソリューションで、主にトランザクションのスピードと効率を向上させることを目的としています。
レイヤー2ソリューションは、メインチェーンの上に追加のプロトコル層を構築することで、ブロックチェーンの処理能力を拡張します。
これにはステートチャネル、プラズマ、ロールアップ（Optimistic RollupsやZK-Rollups）などが含まれます。
これらの技術は、トランザクションをメインチェーンからオフロードすることにより、手数料を削減し、トランザクション速度を向上させます。
レイヤー2ソリューションの主な種類
- ステートチャネル: ステートチャネルは、チェーン外でトランザクションを行い、最終的な結果のみをメインチェーンに記録します。これにより、トランザクションを迅速かつ効率的に処理することが可能になります。例えば、「Lightning Network」がビットコインで使用されています。
- プラズマ: プラズマは、メインチェーンから派生した多数のチャイルドチェーンを作成することで、大量のトランザクションを効率的に処理します。各チャイルドチェーンは独立してトランザクションを処理し、最終的な結果のみをメインチェーンに報告します。
- ロールアップ: ロールアップはトランザクションデータを圧縮してメインチェーンに送信し、処理能力を向上させます。具体的には、「Zero-Knowledge Rollups (ZK-Rollups)」と「Optimistic Rollups」があり、それぞれが異なるメカニズムを用いてセキュリティと効率のバランスを取ります。
レイヤー2ソリューションの実例
- Lightning Network（ライトニングネットワーク）
- 使用チェーン: ビットコイン
- 説明: Lightning Networkはビットコインのトランザクションを高速化するためのステートチャネル技術です。ユーザーはチャネルを開設し、複数の支払いをチェーン外で行い、最終的な残高のみをブロックチェーンに記録します。
- Polygon（ポリゴン）
- 使用チェーン: イーサリアム
- 説明: Polygon（以前のMatic Network）は、イーサリアムのトランザクションを効率化するためのスケーラブルなフレームワークを提供します。特に、Optimistic RollupsやZK-Rollupsを含む複数のレイヤー2ソリューションをサポートしています。
- Optimism
- 使用チェーン: イーサリアム
- 説明: OptimismはOptimistic Rollup技術を利用しており、イーサリアムのトランザクションを効率化します。トランザクションを圧縮し、仮定に基づいてそれを処理後、後で正確性を検証する方法です。
- Arbitrum
- 使用チェーン: イーサリアム
- 説明: ArbitrumもまたOptimistic Rollup技術を使用しており、イーサリアムのスケーラビリティを向上させています。高速なトランザクションと低コストを特徴とし、開発者が容易に既存のイーサリアムアプリケーションを移行できる環境を提供します。
まとめ
レイヤー2ソリューションは、暗号通貨のスケーラビリティ問題を解決するための重要な技術です。これらの技術により、トランザクションの速度と効率が向上し、より多くのユーザーが暗号通貨を日常的に利用できるようになります。各レイヤー2技術はその特性を理解し、適切な用途に応じて選択することが重要です。
